FXの低リスクな手法「スワップポイントのサヤ取り」について、一風変わった戦略を立てました。
扱う通貨ペアは米ドル/円と香港ドル/円。両通貨は35年以上ほぼ同じ値動きです(理由は後述します)。
この米ドルを「買い」、香港ドルを「売る」ことで、スワップポイントのサヤ取りを実現します。
年利7%以上と高利回りが見込める戦略です。
スワップポイントとは、FXで通貨を保有することで「貰える」又は「払う」お金です。
スワップポイントは各FX会社で異なるので、その差を利用して稼ぐのが「スワップポイントのサヤ取り」です
初めての方はこちらの記事で詳しく説明しています。
目次
米ドル・香港ドルの特徴
まずは米ドルと香港ドルの関係性について説明します。
香港は元々は中国の一部ですが、100年間以上に渡ってイギリスの統治下にありました。
その後1997年7月1日に、イギリスから中国に返還されました。
しかし完全に中国と一体化はしていません。中国の特別行政区として、資本主義制度のあり方を1997年から今後50年変えない「一国二制度」と「香港基本法」の下で地方自治を行っています。
中国と一体化していないため、香港の通貨は「人民元」ではなく「香港ドル」が使用されています。
香港ドルの大きな特徴は、米ドルと価格が連動しており「1米ドル=7.75〜7.85香港ドル」に調整されていることです。
このように価格を連動させることを「ペッグ制」と呼びます。
自国の貨幣相場を他通貨と連動させることを指します。
経済基盤の弱い国・政情不安定な開発途上国の場合、自国の貨幣相場が不安定になりがち。
そのため香港は、安定的な国際投資・経済活動の継続を目的として、政府や中央銀行が金利調節や為替介入を行い、米ドルとの為替レートを維持するドルペッグ制を採用しています。
実際に過去の値動きを見てください。以下は「米ドル/香港ドル」の過去チャートです。
一時はレンジから外れることもありましたが、基本的には7.75~7.85で推移しています。
7.75~7.85を外れそうになると、香港政府や中央銀行による介入によりレンジ内に戻されていますね。
米ドル・香港ドルのスワップポイントサヤ取りとは?
スワップポイントのサヤ取りとは、通貨ペアを両建てし、スワポの差分利益を抜く手法です 。以下のイメージ。
例えば米ドルを100円で両建てした場合、101円になっても「買いは+1」「売りは-1」なので、為替の影響はプラマイゼロ。
一方で売りスワップより買いスワップの方が多ければ、スワップポイントが毎日付与されるので、その分が利益にります。
つまり、ほぼノーリスクで利益を得る手法です。なかなかズルい手法(笑)
でも、同じFX会社・同じ通貨で「買いスワップの方が多い」というのはありません。
通常この手法はふたつのFX会社で「A社では買い・B社は売り」とポジションを分けます。
同じ会社で両建てしてサヤ取りできるほど甘くはないんですよね。
異なる通貨なら、同じFX会社内でもスワップも異なるはず。
であれば同じFX会社で簡単にサヤ取りが可能かもしれません。
米ドル・香港ドルのスワップポイントを確認
米ドル・香港ドルで上手くスワップポイントのサヤ取りが行えるか、早速見てみましょう。
以下は各社のスワップポイント(2019/8/15時点)です。
米ドル1万通貨・香港ドル7.8万通貨の比率にしています。
1米ドルに対し7.75~7.85香港ドルなので、その中間の7.8としているわけです。
会社 | 米ドル/円 | 香港ドル/円 | ||
買い | スプレッド | 売り | スプレッド | |
みんなのFX | 70 | 0.2 | -54.6 | 1.8 |
LIGHT FX | 70 | 0.2 | -54.6 | 1.8 |
SBIFXトレード | 65 | 0.29 | -62.4 | 1.9 |
FXプライムbyGMO | 53 | 1 | -101.4 | 2 |
ご覧のとおり、みんなのFX・LIGHT FX・SBIFXだと、スワップポイントで利益が出ますね。
「米ドル/円を1万通貨買い・香港ドル/円を7.8万通貨売る」ことで、1日最大15.4円の利益になります。
同じFX会社内で両建て可能なので、以下のメリットがあります。
- 口座間での資金移動の必要がなくなり、運用が楽になる。
- 為替変動時も同じ口座内でほぼプラマイゼロなので、ロスカットのリスクが低くなる。
1社で両建てができるなら安心して運用できますね。
【速報】くりっく365が熱い!!
読者様にコメント頂いて気付いたのですが、くりっく365の方が多くの利益が得られるかも。
ただくりっく365の香港ドルは、取引単位が10万通貨なので戦略がちょっと変わります。
各社の最新スワップポイントは以下にまとめています。ここを見れば今すぐ有利な会社で始められます。
サヤ取りの利益を計算
では、試しに1か月分の利益を計算してみます。
使用する口座は、みんなのFX又はLIGHT FXです。どちらも運営会社が同じで、スワポも同じなので両社どちらでもOK。
米ドル10万通貨(香港ドルは78万通貨)で運用した際の1か月分のスワポを以下のとおり計算しました。
計算の結果、1か月で7,010円のスワップポイント利益となりました。
「米ドル/香港ドル」がポジション保有時と同じだったら、スワップポイント分が純利益となります。
なお、スプレッド分が初期費用となります。
米ドル10万通貨・香港ドル78万通貨だと、14,340円が初期費用。
2か月のスワップポイントでスプレッド分を回収する感じですね。
為替差益も計算
今回の手法は「米ドル・香港ドルを買う」のと同じなので、為替レートによっては含み損益が発生します。
以下は「米ドル/香港ドル」が7.8の時に、米ドル10万通貨・香港ドル78万通貨でエントリーした場合の損益。
折れ線が「米ドル/香港ドル」のレートで、青い山みたいなのが含み損益となります。
2017年より前は7.75付近でしたが、最近は7.8より上の方が多いですね。
「米ドル/香港ドル」が7.8でエントリーした場合、現在は為替で利益が出ていますね。
サヤ取りに必要な資金を計算
最大限の利益を狙うためには、レバレッジをかけて運用することが重要です。
とはいえ最大の恐怖はロスカット。ロスカット回避のための適切なレバレッジを計算します。
先ほどのスワップの計算と同じく、米ドル1万通貨・香港ドル7.8万通貨を1ポジション(1ポジ)として計算しますね。
最低限必要な金額は?
まずは最低限必要な金額(必要証拠金)から。以下の計算式で求められます。
数量 | 必要証拠金(※) |
1ポジ | ¥84,240 |
10ポジ | ¥842,401 |
50ポジ | ¥2,310,844 |
100ポジ | ¥8,424,008 |
(※)米ドル105.6円、香港ドル13.45円で計算(米ドル/香港ドルのレートは7.85)
どれだけ入金すべき?
必要証拠金は最低金額(レバレッジ25倍)なので、値動きがあると即ロスカット。
ロスカット回避のための余裕資金が必要です。
「米ドル/香港ドル」のレートが7.8の時に1ポジを保有した場合を例にします。
過去20年の最大損失は「米ドル/香港ドル」が7.6付近となった時、約2.5万円の損失です。
最大損失を迎えても、以下の状態を保つように入金しておくことがベストですね。
てなわけで必要証拠金プラス2.5万円で過去20年間での最大の下落に耐えられます。
ちなみに「米ドル/香港ドル」の各レートでエントリーする場合の必要資金(目安)は以下の通りです。
最悪シナリオまでは行かないと思うなら利回り重視で入金額を減らす。もっと安全に運用したいなら入金額を増やす等、リスク許容度に応じて入金額を増減してくださいね。
サヤ取りの利回りまとめ
上記で計算した必要資金を元に、見込まれる利益を計算します。
開始時のレートによって利回りも変わるので、レート毎に算出しておきました。
以下は1ポジ毎の金額。年間利益は2019/7/15~8/15の実績を1年換算した結果です。
米ドル/香港ドル | 必要資金目安 | 年間利益 | 利回り |
7.85 | ¥116,000 | ¥8,412 | 7.25% |
7.84 | ¥114,800 | 7.33% | |
7.83 | ¥113,600 | 7.40% | |
7.82 | ¥112,400 | 7.48% | |
7.81 | ¥111,200 | 7.56% | |
7.8 | ¥110,000 | 7.65% | |
7.79 | ¥108,600 | 7.75% | |
7.78 | ¥107,200 | 7.85% | |
7.77 | ¥105,800 | 7.95% | |
7.76 | ¥104,400 | 8.06% | |
7.75 | ¥103,000 | 8.17% |
米ドル・香港ドルのサヤ取りのリスクは?
メリットばかり伝えるのも良くないので、リスクについても説明します。
この手法の最大のリスクは、香港がドルペッグ制をやめることです。
これまで1米ドル7.75~7.85香港ドルで調整していたのに、突然調整を止めると相場は大荒れになるでしょう。
現に2015年に起きたスイスフランショックが思い出されます。
スイスフランは2011年以降、ユーロとのペッグ制を採用しスイス中央銀行による為替調整が頻繁に行われていました。
しかし、2015年1月にペッグ制をやめる宣言が突如発令。
この発令の直後からユーロ/スイスフランは下落を開始し、わずかな時間で40%もの暴落となりました。FX会社が倒産するほどの騒ぎとなり、まさに強烈なショックとなりました。
ペッグ制を採用する通貨への投資では、万が一ペッグ制が廃止された場合も念のため考えておくべきです。
今回の手法は「米ドル/香港ドル」が下落した際に損失が発生。つまり香港ドルの通貨価値が上がった時が損失です。
香港は自国通貨の信頼性を、米ドルとペッグすることで担保しています。ペッグ制を廃止すると信頼性の担保が無くなります。
つまり、ペッグ制を廃止すると「米ドル/香港ドル」が上昇し、サヤ取りポジションは為替で利益が発生すると予測しています。
ペッグ制が廃止された場合、30年以上の歴史が崩れるので相場は荒れます。
もし不安があるのであれば、全財産を投じないのが吉かと思います。
リスクを抑えるには、分散投資が何より大事ですからね。
ペッグ制廃止のリスクは、こちらの記事で詳しく考察しています。
サトルの戦略は?
2019年8月現在、香港デモが激化しており、米ドル/香港ドルは7.85の高値です。情勢不安からの香港ドル売りが原因です。
ですので、ひとまずは7.8付近に戻るのを待ってエントリーするのがベターかと。
香港デモは世界中が注目しています。このデモの結果次第で、市場は大きく揺れるかもしれません。
焦って投資せず、じっくり待つことも相場ですからね。
まだ口座を作っていない方は、今のうちに作っておいてエントリーに備えるのはいかがでしょうか?
口座開設は無料。5分で開設できますし、3日程度で取引可能になります。
各社の最新スワップポイントは以下にまとめています。ここを見れば今すぐ有利な会社で始められます。
まとめ
いかがでしたか?
サヤ取りでも一風変わった手法、米ドル・香港ドルを紹介しました。
ペッグ制である以上、中長期的な視点だと悪くない手法かなと思います。
香港デモの行方が気になるので、まずは待ちですね。
【2019年9月29日更新】
お試しでサヤ取りエントリーしました。まずは様子見の5ポジ。
運営報告は毎週更新の記事で行います。
その他通貨についても、私のオリジナル戦略を立てています。参考にどうぞ。
FXと同じようにレバレッジを効かせる商品で、配当金を貰い続ける投資方法もあります。これもポートフォリオに加えると分散効果が出てきます。
では、また。