- 豪ドル・NZドルというふたつのオセアニア通貨。値動きが非常に似ていることはご存じでしょうか。
オーストラリアとニュージーランド、隣国の島国であり、仲良しの国です。
距離が近いだけでなく、経済・金融政策も似ているので、自然と為替レートの動きも似通っているのです。
この両通貨の相関性の高さに目をつけ、現在私は「豪ドル買い・NZドル売り」のポジションで運用しています。詳しくはこちらをご覧ください。
本記事では、両通貨がどれほど相関しているのか。なぜ相関しているのか分析し、私の今後の運用方針についても考えてみたいと思います。
目次
豪ドル・NZドルはどれだけ相関してるか?
まずは両通貨を並べた為替チャートを見てください。
パッと見で、ふたつの通貨の値動きが非常に近い事がわかりますね。
このように、値動きが近い組み合わせを「相関性が高い通貨ペア」といいます。
この相関性を数値化したものを相関係数といい、豪ドル・NZドルの値動きで計算すると「0.883」(20年間の変動率で計算)。これって、めちゃめちゃ高い数値です。
- 0.4~0.7:相関がある
- 0.7~0.9:強い相関がある
- 0.9~1.0:(ほぼ)完全な相関がある
もうちょっと掘り下げて、過去の一定期間でも見てみましょう。
期間 | 相関係数 |
過去20年 | 0.883339873 |
過去15年 | 0.888057318 |
過去10年 | 0.867700011 |
過去5年 | 0.791877682 |
過去2年 | 0.798535473 |
直近5年で相関係数は落ちていますが、いずれにせよ高水準ですね。
でもって更に、相関係数をグラフ化してみます。過去日とその直近1年との相関係数を並べてみました。
基本的に0.7以上なので、相関性は非常に高いですが、1年間で見ると相関性に差異がありますね。
てな感じで、たくさん計算してみました。
本当に相関性が高いのか?疑っちゃうと色んな角度で見たくなるんです(笑)
ここでわかったのは、豪ドル・NZドルの値動きは常に相関性が高いが、たまにブレるってことです。
豪ドル・NZドルの相関性が高い理由
では、なんでこんなに相関性が高いのか、その理由も分析してみましょう。
経済的繋がりが深い
まずは両国の経済的繋がりという観点から。
オーストラリアとニュージーランドの輸出国を見てみましょう。
(引用元:https://atlas.media.mit.edu/ja/)
主な特徴は以下ですかね。
- オーストラリアは中国への輸出割合が大きい
- ニュージーランドは中国とオーストラリアの輸出割合が大きい
輸出先は、自国のモノを買ってくれるお客さんです。お客さんの景気が良ければ売上が増えますし、景気が悪ければ売り上げは低下します。
なので、輸出する側の景気も輸出先の景気に左右されることになります。
例えばオーストラリアの主要輸出先である中国経済が後退した場合、オーストラリアの輸出が落ち、オーストラリア経済も影響を受けます。
一方でニュージーランドも、主要輸出先の中国とオーストラリアの経済後退を受けるため、ニュージーランド経済も影響を受けます。
このように、オーストラリアとニュージーランドは経済的繋がりが深いので、通貨価値も相関性が高くなるのです。
直近の2019年5~6月は、米中貿易戦争による中国経済の後退懸念から、豪ドル・NZドルどちらも大きく下落しましたね。
経済指標・金利政策が近い
上記の理由から、GDP成長率や経常収支といった経済指標も近い値となっており、動きも似ています。
<主要経済指標>
こうなってくると、両国の金融政策についても似た動きになります。
政策金利の推移をご覧頂くと、似たように推移していることがわかります。
<政策金利の推移>
(引用元:外為どっとこむ)
つい最近の2019年5~6月についても、両国ともに利下げを行っており、ここでも相関性の高さが伺えます。
このように、経済や金融政策が連動しているため、豪ドルとNZドルの値動きにも相関性が生まれるのです。
豪ドル・NZドルの価格差の背景
豪ドル・NZドルは相関していますが、NZドルは過去1度も豪ドルを上回っていません。
何故なのか、一言でいうと国力に差があるからです。
広大な土地をもつ資源国であるオーストラリアは、経済面でニュージーランドより常に有利な位置にあります。
1人あたりGDPを見るとよくわかります。
「国内総生産」といい、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額のことを指します。この数値が高いほうが経済的に豊かってことになります。
このようなオーストラリア優位が、未来永劫続くかはわかりません。ただ、石炭・鉄鉱石などの資源が豊富なオーストラリア。一方で農林水産物中心のニュージーランド・・・
資源や主要産業で単純には判断できませんが、しばらくは、オーストラリア優位の状況は変わらないでしょうね。
豪ドル・NZドルの価格差を利用した投資方針
では実際これらについて、投資戦略にどう組み入れるのか考えます。
私が行っている「豪ドル買い・NZドル売り」の戦略は、豪ドルとNZドルの価格差が広がれば広がるほど儲けがでます。
仕組みは以下イメージのとおり。
両通貨の価格差が狭まったらポジションを保有し、広がったところで決済します。
大事なのは、エントリーポイントをどこにするかです。
以下、両通貨の価格差異の推移をご覧ください。
最大の23円はそう簡単に起きませんが、最小の0.5円は割と最近の出来事ですね。
いつエントリーすれば良いのかを検討するにあたって、数値を集計します。
価格差(円)ごとに過去の発生回数(日数)を調べてみました。
(未満の発生率の計算:(〇円未満の出現日数/全日数)×100%)
表がわかりにくかったら申し訳ありません。以下のような見方で表を読んで頂くイメージかと。
過去を振り返ると、価格差0円以下は一度もなかったというのが肝。
「今後もずっと0円を切らないか」は保証できません。ただ、先に分析したとおり、オーストラリア優位が続く限りは0円を切らないか、切っても一時的だと推測します。
2019年6月20日現在の価格差は約3.6円。全期間だと2%程度、直近5年だと13%程度の発生率です。
今はエントリータイミングとしては悪くないと思います。
サトルのポジションはどうなっている?
私は約4.4円の価格差でエントリーしています。
2019年6月20日現在の価格差が3.6円なので、含み損益はお察しの通り・・・30万通貨保有しているので、現在25万円ほどの含み損です。
4.4円の価格差でのエントリーは、確かに微妙なところでした。ただ、私がエントリーしたときは、スワップポイントが熱かったんですよね。
「豪ドル買いスワップ>NZドル売りスワップ」で、差が1万通貨につき20円ほどでした。30万通貨なので、1日で600円のスワップポイントを得られていました。
そう思ってエントリーすると「スワップポイントの下落」と「価格差の更なる狭まり」をダブルで受けました。
中国の動向が見えないのと、豪ドルの利下げの影響をモロに受けた感じですね。
そのため、2019年6月現在は、スワップポイントは期待できません。
ただ、価格差が3円台であれば、価格差益を狙うつもりで始めるのもアリだと思います。
私は価格差が3.3円を切ったあたりで、もっとポジションを増やそうかと考えています。
ちなみに、「豪ドル買い・NZ売り」は「豪ドル/NZドルの買い」と同じです。ただ、「豪ドル/NZドルの買い」はスワップポイントの支払いが発生するのでお勧めしません。「豪ドル買い・NZドル売り」(あくまで対円)であれば、支払いが発生しないので、こちらを推奨します。
メリット・デメリットを改めて整理
少し変わったこの手法。現在の為替相場の荒れ具合を見て、改めてメリット・デメリットを整理してみました。
本手法のメリット
メリットとしては、為替相場が荒れたとしても、負けが小さい(又は負けにくい)ところでしょうか。
この手法は、一方の通貨を買うのではなく、価格差への投資です。
例えば、私がエントリーした頃の豪ドルは「約79円」でした。30万通貨の「買い」だけだと、損失は140万円まで積み上がっています。
やっぱり一方のポジションだけだと、損した時のダメージが大きいんですよね。しかもどこまで下落するか不明なので、損切りの判断も難しい・・・
両通貨の価格差への投資なら、下落時の影響は限定的となります。価格差が0を下回ったことはなく、今後も0円を下回らないという前提に立てば、損失はかなり限定的ですからね。
本手法のデメリット
デメリットとしては、大きな利益は見込めないことです。
現在の相場でいうと、「豪ドル売り」ポジションのみを保有した人は大儲けしているかと思います。
ただ、こうなるなんて予想できますか?相場に関われば関わるほど、予想って結果論に過ぎないなと感じます。
確かに私の手法も「価格差が広がる」という予想で成り立っています。ただ、その予想が当たるかはさておき、外れてもダメージは低いんですよね。
こういった理由から、儲けが少なくても「リスクがより低く・確実性がより高いほう」にBETするのが、私にとっては正解の選択だと思っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
相関性の分析をするとともに、私の投資における考え方も語りました。
リスク無しで絶対儲かる投資なんてありませんが、大事な資産なので可能な限りリスクを抑えたいものです。私の分析を少しでも参考にして頂き、投資判断にお役立て頂けると幸いです。
始めようと思う方は、以下の口座がおすすめです。開設後3日程度で取引可能になります。
更にリスクが低いスワップポイントのサヤ取りについては、各通貨私のオリジナル戦略を立てています。参考にどうぞ。
FXと同じようにレバレッジを効かせる商品で、配当金を貰い続ける投資方法もあります。これもポートフォリオに加えると分散効果が出てきます。
では、また。