FXのなかでも、低リスクな手法「サヤ取り」について、面白い手法を見つけました。
個人的には全く悪くない投資方法と考えており、ワクワクしています。
サヤ取りとは、価格差を利用して利益を抜く方法です。
FX会社から貰えるスワップポイントのサヤ取りとして、トルコリラ、南アフリカランド、ユーロドルを別記事で紹介しました。
スワップポイントとは、FXで通貨を保有することで「貰える」又は「払う」お金です。
スワップポイントは各FX会社で異なるので、その差を利用して稼ぐのが「スワップポイントのサヤ取り」です
初めての方はこちらの記事で詳しく説明しています。
今回は視点を変え、スワップポイントのサヤ取り加えて、為替差益のサヤ取りを狙います。
名付けて「両サヤ取り」。
為替差益を得るのはFXの王道ですが、大損して退場する人が多いのも事実。それもあって最近は、スワップポイントのサヤ取りが流行っています。この為替差益とスワップポイント、どちらも得られたら最高ですよね。
今回は為替差益とスワップポイントについて、両方サヤ取りを行うことで、リスクを抑えつつ利益を挙げる作戦です。
扱う通貨ペアは、豪ドル/円・NZドル/円。どちらも先進国通貨であり、政策金利が高めです。
この豪ドルを「買い」、NZドルを「売る」ことで、両サヤ取りを実現します。
目次
豪ドル・NZドルの特徴
オーストラリアとニュージーランド。この2国は隣あった島国で、どちらも先進国です。
「豪ドル/円・NZ/円」この通貨ペアに目を付けた理由は主に以下の3つからです。
- 為替の値動きがほぼ同じ(相関性が高い)
- 為替相場が常に「豪ドル>NZドル」
- スワップポイントが
常に「豪ドル>NZ」
隣国だけあって共通点が多い国であり、上記の状態が長く続いています。
豪ドルとNZドルは相関性が高い
まずは、過去の為替相場を見てください。
この20年間、見事にほぼ同じ値動きです。
そして為替相場はずっと豪ドルの方がNZドルより高い状態。一度たりともNZドルに抜かれたことはありません。
このように、値動きが近い組み合わせを「相関性が高い通貨ペア」といいます。
なぜこうも為替値動きが近いのかというと、隣国なので繋がりが深く・同じような経済状況で・同じような金利政策をとっているから。
また、常に豪ドルの方が高い状態にあるのも、人口やGDP面でオーストラリアのほうが上だから。つまり国力の差によるものですね。
相関性が高い理由は以下の記事も参考にしてください。
スワップポイントが「豪ドル>NZドル」になっている
続いてスワップポイントです。
オーストラリア・ニュージーランドは共に同じような金融政策を執っており、2019年8月現在、両国の政策金利は1%です。
そのため、スワップポイントも近い値になっています
各FX会社を比較してみたところ、以下の結果でした。
買いスワップ最大 | 売りスワップ最小 | |
豪ドル | 23 | – |
NZドル | – | -21 |
※1万通貨あたりのスワップポイント
豪ドルを買って・NZドルを売れば、1万通貨につき毎日2円のスワップポイントが得られますね。
てな感じで、まずは豪ドル・NZドルに目を付けた理由をお伝えしました。
豪ドル・NZドルの両サヤ取りの利益構造
豪ドル・NZドルを利用した両サヤ取り。どうやって利益を挙げるのか、この辺を詳しくお伝えします。
さっそく結論から。以下のイメージで利益を挙げます。
つまりは、
- 2つの通貨のスワップポイントの差分を得る、スワップポイントのサヤ取り
- 値動きが近い通貨でも、たまに出る差で利益を得る、為替差益のサヤ取り
(価格差が狭い時にエントリーして、広がったら決済する)
この2つを、リスクを抑えつつ得ることを狙うのが「両サヤ取り」ですね 。
実はこのやり方、結構理にかなっていて、とってもワクワクする手法なんです。
豪ドル・NZドルでのスワップポイントサヤ取りとは?
まずは、スワップポイントの仕組みについてです。
スワップポイントのサヤ取りとは、通貨ペアを両建てし、スワポの差分利益を抜く手法です 。以下のイメージ。
例えば米ドルを100円で両建てした場合、101円になっても「買いは+1」「売りは-1」なので、為替の影響はプラマイゼロです。
一方で、スワップポイントが毎日付与されるので、その分が利益にります。
つまり、ほぼノーリスクで利益を得る手法です。なかなかズルい手法(笑)
でもって、この手法は同じ通貨を両建てするしかないと思われがち。
しかし、豪ドル・NZドルのように、値動きが近い通貨を組み合わせることでも同じことができるんです。
値動きが近いってことは、豪ドルが上がれば・NZドルも上がる可能性が高くなります。
なので、豪ドルとNZドルで逆のポジションを持てば、先ほどの米ドルのように為替影響がプラマイゼロになるって考え方です。
てなわけで、豪ドル買い・NZ売りのスワップポイントを各社調べてみました。
そこで、あることに気づきました。
会社 | 豪ドル | NZドル | ||
買い | スプレッド(銭) | 売り | スプレッド(銭) | |
みんなのFX | 22 | 0.6 | -25 | 1 |
LIGHT FX | 22 | 0.6 | -25 | 1 |
GMOクリック証券FXネオ | 23 | 0.7 | -21 | 1.2 |
DMM FX | 20 | 0.7 | -25 | 1.2 |
外為ジャパンFX | 20 | 0.7 | -25 | 1.2 |
ヒロセ通商 | 23 | 0.7 | -80 | 1 |
ライブスター証券FX | 22 | 3.2 | -41 | 3.6 |
そう、GMOクリック証券は、豪ドルの「買いスワップ」が高く、NZドルの「売り」スワップが低い のです。
なので、ここなら別会社で「買い・売り」口座を分ける必要がなく、同じ会社で両建てポジションを持てます。
両建てポジションを同じ会社で持つことは、以下のメリットがあります。
- 口座間での資金移動の必要がなくなり、運用が楽になる。
- 為替変動時も、同じ口座内でほぼプラマイゼロなので、ロスカットのリスクが低くなる。
普通のスワップポイントのサヤ取りは、ポジション毎に会社を分ける必要があるので、管理が手間。為替変動時も、ロスカットされないかヒヤヒヤするんですよね。
1社で両建てポジションが持てるなら、上記のメリットがあるので比較的安心して運用できます。
今のところ、GMOクリック証券が有利ですね。
豪ドル・NZドルの為替差益のサヤ取りとは?
ここからが、普通のスワップポイントのサヤ取りと違うところです。
豪ドル・NZドルの組み合わせで、為替差益も狙います。
豪ドル・NZドルは、値動きが近いと何度もお伝えしましたが、ここいらで証拠を出しましょう。
「相関係数」という統計学で使う数値があります。異なるものについて、どれだけ関連性が高いか数値化したものです。
この相関係数を、豪ドル・NZドルの値動きで計算すると「0.883」(20年間の変動率で計算)。これって、めっちゃ高い数値なんですよ。
- 0.4~0.7:相関がある
- 0.7~0.9:強い相関がある
- 0.9~1.0:(ほぼ)完全な相関がある
ただ、いくら相関が強くても、相関係数が「1」じゃない限り、たまにズレが生じます。
この、たまにある為替レートのズレを狙うのが、為替差益のサヤ取りです。
まずは過去3年分の為替チャートを見てください。
同じような値動きをしていますが、価格差が大きい時もあれば、小さい時もありますよね。
この価格差を利益に変えるのが今回の手法になります。
具体的には、豪ドルとNZドルの価格差が小さいときに「豪ドル買い・NZドル売り」でエントリーして、
価格差が大きくなったら、ポジションを解消(決済)するってことです。
以下のグラフだと、もっとわかりやすいかもしれません。
エントリーした時の価格差より下回ると損失・上回ると利益が出ます。
2019年8月10日現在の価格差は「3.37円」程度。過去と比較して低い水準なのは一目瞭然ですね。
参考までに、価格差を20年分まとめてみましたのでご覧ください。
今エントリーすると、過去の歴史上、損をするより利益が出る可能性のほうが高いと考えられます。
価格差が0を下回ったことはなく、今後も0円を下回らないという前提に立てば、損失はかなり限定的。
損益POINT
- 例えば今10万通貨でエントリーして、2018年の最高水準(約9円)まで価格差が広がると、利益は50万円。
- 過去最大(約23円)まで広がると、利益は190万円。
- 一方、最近の最低水準(約2.5円)の価格差に縮まると損失は20万円。
- 過去最低(約0.5円)まで縮まっても、損失は40万円。
過去の歴史が未来を保証することはありませんが、過去のデータから、安全を見越しつつ勝率がより高いほうにBETすべきと私は考えています。
現在の「3.4円の差」も、過去と比較すると投資チャンスだと考えられます。勿論、より価格差が縮まるまで待つのも良いでしょう。その辺は個人の考え方次第ですかね。
両サヤ取りで得られる利益を計算
両サヤ取りの利益構造について理解頂けましたでしょうか?
ではここいらで、気になる実際の利益について計算してみましょう。
前述したとおり、両サヤ取りの利益は、豪ドル・NZドルの「スワップポイントの差」と「為替レートの差」です。
どれぐらいの利益が見込めるのか、10万通貨で運用した場合で検証してみましょう。
スワップポイントのサヤ取り
使用する口座は、みんなのFX又はLIGHT FXです。どちらも運営会社が同じで、スワポも同じなので両社どちらでもOK。
1か月分のスワポを以下のとおり計算しました。
計算の結果、10万通貨だと1か月で4,350円のスワップポイントが得られます。
2019年8月現在はスワップポイントが落ちたため、1か月で600円程度のスワップポイントとなります。
豪ドル・NZドルの価格差が、ポジション保有時と同じであれば、スワップポイントが純利益となります。
為替差益のサヤ取り
為替差益は決済しないと利益が確定しないので、シミュレーションは難しいのですが、ちと無理矢理やってみました。
2015年あたりに4円程度の差が出ているので、そこから8/10現在まで、10万通貨で運用した場合の評価損益を出してみました。(2019年6月からスワポ利益が1日2円になったのも織り込みます)
(※)折れ線が「豪ドル・NZドルの価格差」、山みたいなのが「ポジションの評価損益」
ポジション保有後、急激に価格差が開いたのでいきなり爆益ですが、その後上下を繰り返しています。
2015年から現在まで、スタートの価格差4円を切ることは何度かありましたが、4円より開いている期間が圧倒的に長いですね。
ちなみに、スワップポイントも含み益として計算しているので、期間が経つほど利益が増します。
損益は価格差に影響されますが、長く保有するだけ損失が少なくなっていく仕組み。グラフの右端、見え辛いですが保有時の価格差に戻っています。
為替差益はプラマイゼロですが、スワップポイントにより評価損益がプラスになっています。これが両サヤ取りのメリットです。
また、何度か上下しているので、価格差が開いたときに決済して、次のエントリー機会を伺うのも良いかと思います。
「豪ドル/円」を買って「NZドル/円」を売るってことは、「豪ドル/NZドル」を買う行為と同じです。ただ、これだとスワップポイントはプラスにならないので、今回の手法を行います。
豪ドル/NZドルは、SBIFXとかで扱っているので、このチャートを見ながら運用するのも良いですね。
両サヤ取りに必要な資金を計算
FXですので、最大限の利益を狙うためには、レバレッジをかけて運用することが重要です。
とはいえ、レバレッジをかける投資における最大の恐怖はロスカット。ですので、より安全を考慮したレバレッジ設定にするのが得策です。
最低限必要な金額は?
まずは、最低限必要な金額(必要証拠金)から。
必要証拠金は、以下の計算式で求められます。
必要証拠金は豪ドル・NZドルで、それぞれ用意することに注意です。以下は計算例。
数量 | 必要証拠金(※) |
1万通貨 | ¥55,956 |
10万通貨 | ¥559,560 |
50万通貨 | ¥2,797,800 |
100万通貨 | ¥5,595,600 |
(※)豪ドル71.6円、NZドル68.2円で計算。
どれだけ入金すべき?
これはあくまでも最低金額(レバレッジ25倍)なので、両通貨の価格差が開くとロスカットです。
ロスカットされないために、どれだけの資金を用意するか、それが肝ですね。
しかも、両通貨の価格差で考える必要があるので、普通の通貨よりちょっと厄介です。その辺わかりやすく説明しますね。
前述した図で説明しましょう。
損失は「豪ドル-NZドル」がエントリーした時より低くなることで発生します。
なので、上の図の「損失」が増えてもロスカットされないことを目指します。
ここで、豪ドル・NZドルの特徴を思い出してください。
図のとおり、過去最低は0.5円の価格差です。
よって、過去最低から+αの安全を見越して、価格差がゼロになった場合を考慮するのがシンプルですかね。
価格差3.4円でエントリ―した場合、価格差ゼロになると「3.4円×保有通貨数」分の損失。
このときに、以下の状態を死守するよう、口座に入金しておくのがベストですね。
てなわけで、価格差ゼロ(3.4円分)をカバーするために必要な資金を、保有通貨数毎に纏めました。ついでにスワップポイントの利益も載せておきます。
数量 | 必要資金 | 証拠金維持率 | 年間スワップ利益 | スワップ利回り |
1万通貨 | ¥89,836 | 161% | ¥720 | 0.80% |
10万通貨 | ¥898,360 | ¥7,200 | ||
50万通貨 | ¥4,491,800 | ¥36,000 | ||
100万通貨 | ¥8,983,600 | ¥72,000 |
価格差が上下しなかった場合、スワップ利益のみで利回り0.8%となります。
(以前までは利回り5%程度だったので、少し残念ですね。。)
価格差が広がった場合、スワップ利益に加えて為替差益も得られる、まさに「両サヤ取り」が成立します。
サトルの運用実績(2019年4月11日~)
私は価格差4.4円の時に、30万通貨でエントリーしています。
現在の価格差が3.4円程度なので、私は30万円の含み損状態です。
開始からこれまでの両通貨の価格差と、合計損益をグラフ化しました。
(山になっているのが「含み損益」、折れ線グラフが「豪ドル-NZドルの価格差」)
最初だけ含み益でしたが以降はずっとマイナス。エントリーが早過ぎましたね。一時は60万円超えの含み損でした。
現在の価格差3.4円は、過去の発生頻度を鑑みると非常に稀なので、エントリータイミング到来ですかね。
直近だと2.5円程度まで価格差が縮まりましたが、2019年8月のニュージーランド利下げで価格差が再度広がりました。
参考までに、各価格差がどれだけ出現したかも再度載せておきますね。
スワップポイントの利益はさほど見込めないため、為替差益に切り替えです。
私の場合、エントリーした価格差+1円程度(5.4円)で決済するのが無難ですかね。
2円台のお宝ポジションを得られた方は、+3円ぐらい攻めても良いかと思います。
まとめ:両サヤ取りをポートフォリオに加えるのもアリ
いかがでしたか?
スワップポイントだけを狙うサヤ取りも運用しているんですが、利益は多くないんですよね・・・
スワポのサヤ取りでは物足りないと思っている方は、この手法もアリかと思います。
但し、為替差益を狙うということは、為替変動によって損をするリスクはあります(個人的には損は限定的と考えていますが…)。
リスクとリターンは表裏一体・比例関係ですので、どれだけリスクを取れるかは、資産状況や年齢、家族構成によるところが大きいですね。(ちなみにサトルはこの秋に2児の父になります)
この辺は、私が分析した過去のデータ等を基にして、皆さんの判断材料にして頂けると幸いです。
始めようと思う方は、以下の口座がおすすめです。おそらく3日程度で取引可能になります。
豪ドル・NZドルの相関性の高さを分析しているこちらも参考にどうぞ。
スワップポイントのサヤ取りについては、各通貨私のオリジナル戦略を立てています。参考にどうぞ。
FXと同じようにレバレッジを効かせる商品で、配当金を貰い続ける投資方法もあります。これもポートフォリオに加えると分散効果が出てきます。
では、また。