くりっく株365のルール変更(既存商品の上場廃止)という残念なニュース。FTSE100の長期投資家は手痛い事態になりましたね。
といっても、FTSE100の長期投資ができなくなったわけではありません。
調査・分析をした結果、GMOクリック証券のイギリス100が、くりっく株365のFTSE100からの引っ越し先として好適だとわかりました。
くりっく株365との比較結果はこちらに纏めています。
GMOクリック証券での運用で気を付けるべきは「損益が為替変動の影響を受ける」ことです。
他にもロスカットのルールが異なってたりするので、頭の切り替えが必要になりますね。
てなわけで本記事では、GMOクリック証券におけるイギリス100の値動き、適正な入金額・利回り、取引ルール等を検証したいと思います。
- ロスカットされない程度のレバレッジで最低限の元本で始める
- 値上がり益でなく確実な配当(価格調整額)を得る
くりっく株365のルール変更のポイントはこちらに纏めています。
株価指数CFDが初めての方はこちらを参考にどうぞ。
目次
イギリス100は為替相場の影響を受ける
イギリス100の取引価格は1枚「株価指数×ポンド円レート×0.1」です。
そのため、運用にあたっては、株価指数だけでなく、ポンド円相場にも注意する必要があります。
GMOクリック証券の画面では「コンバージョンレート」という名前で、採用するポンド円レートが表示されています。
ポンド円の特徴
ここからが注意。ポンド円はネット掲示板で「殺人通貨」と言われるほど値動きの激しい通貨です。
ポンド円の過去相場を見てください。
最高251.18円、最低116.79円という、とんでもない値幅です。
しかも、1か月で5円程度の変動なら平気で発生するような通貨。ユーロやドルの2倍以上の値動きが発生することも多々あります。
FXだと肝を冷やす通貨ですが、株価指数CFDだと多少和らぎます。過度な心配は不要ですが、ポンド円には注意ですね。
ポンド円相場が1円動くにつき「イギリス100のレート×0.1円」分の値動きが発生します。
ポンド円を加味したイギリス100の過去相場
次に、過去のFTSE100・ポンド円レートを組み合わせたチャートを作成してみました。
最後に0.1を掛けて、イギリス100の取引単位(1枚)の価格に合わせています。
作ってみるとビックリ、2007年~2009年の急降下が凄い!
リーマンショックの影響により、約2年間で価格が-70%に・・・
FTSE100とポンド円両方が動くと、相乗効果で2倍の値動きになります。長期投資では、値動きに踊らされず淡々と積み立てるので、過度に気にしないことが大事。
ポジション保有に適切な入金額は?
GMOクリック証券のイギリス100はレバレッジ商品です。レバレッジ商品への投資は、含み損が増えていくと、強制的にポジションが決済される危険があります。
そのため、私が作ったチャートを参考に、ポジションを保有するために必要な資金を検討します。
狙うのはあくまで、配当(価格調整額)によるインカム収入。投資から退場しないことが大前提です。
以下の状態を死守しましょうね。
では、入金額が含み損に負けないために、いくら入金すべきか?
ひとつの基準としては。リーマンショック級の暴落に耐えられる程度の金額ですかね。
私が作ったチャートだと、リーマンショック時の最安値は「4.7万円」。これに耐えられる入金額と、入金額に対する年間利回りはこんな感じです。
- 現在のレートが10万円程度なので、4.7万円に達すると5.3万円の含み損
- 更に必要証拠金(1万円程度)と安全値を合計し「7万円」の入金が妥当か
(計算:10万円 – 4.7万円 + 1万円 + 0.7万円(安全値))
- 2018年はポジション1枚につき、3,711円の価格調整額が貰えた
- 7万円の入金だと配当利回りは「5.3%」になる
くりっく株365は20万円程度必要でしたが、GMOクリック証券だと1/3程度の資金で投資を始められます。
少額で始められるのはGMOクリック証券の大きなメリットですね。
ご紹介したプラン、悪くはない利回りですが、いまいち物足りないな、と思う方もいるかもしれません。
そんな方のために別プランも考えてみました。
少しリスクを取って利回りを高めるプラン
直近5年の最安値は「7,7万円」でした。ブレグジット決定時の下落ですね。
リーマンショック級の暴落はそう来ない・来てもすぐ入金できるという方は、この数値を使ってはいかがでしょうか。
- 現在のレートが10万円程度なので、7.7万円に達すると、2.3万円の含み損
- 更に必要証拠金(1万円程度)と安全値を合計し「4万円」の入金が妥当か
(計算:10万円 – 7.7万円 + 1万円 + 0.7万円(安全値))
- 2018年はポジション1枚につき、3,711円の価格調整額が貰えた
- 4万円の入金だと配当利回りは「9.2%」になる
私はこのプランを採用して、積立投資する予定です。
- 毎月12万円入金して、イギリス100を4枚積立て
- 配当金が4万円溜まると追加で1枚積立て
リーマンショック級の暴落は怖いですが、定収入があるサラリーマンの強みを生かして少し強気の運用です。
4万円の中には緊急時に充てる0.7万円が入っているので、余程のことがない限りは大丈夫という判断。
GMOクリック証券の取引ルールを確認
適切な入金額を説明しましたが、入金してもまだ油断できません。
GMOクリック証券は特殊なルールがあるので、きちんと把握しておきましょう。
ロスカットルール
GMOクリック証券は「セーフティバルブシステム(S.V.S)」というロスカットシステムを採用しています。
便利なのですが、少し曲者なので理解しておきましょう。
ロスカットレートが自動設定される
注文した際、ポジションごとにロスカットされるレート(ロスカットレート)が自動で設定されます。
FXの逆指値注文のような感じです。含み損が積み重なって、一気に全ポジションがロスカットされるのを防ぐための仕組みです。
便利といえば便利です。けど、ちょっと問題ありです。
自動で設定されたロスカットレートは、注文時のレートに近いところに設定されることに注意。
試しに注文すると、こんな感じでした。
注文時のレート7,150に対し、ロスカットレートが6,787です。近くに設定されていますね。
このまま放っておくと、気づいた時にはロスカット・・・という危険性があります。
せっかく多めに入金したのに、勝手にロスカットされたら元も子もありませんからね。
勿論これを防ぐ手段はあるので後述します。
任意証拠金でロスカットレートを変更可能
もう一つ用意されている「任意証拠金」というルールを利用すれば、ロスカットレートが変更できるため、上述の危険を防げます。
つまり、各ポジションに対して証拠金を上乗せ(投下資金を足す)することで、ロスカットレートを引き下げることができます。
リーマンショック時のFTSE100のレートは「約3,400」でした。
なので、ロスカットレートは「3,400以下」を設定するのが妥当ですかね。
こんな感じでロスカットレートを変更します。
ロスカットレートは株価指数(イギリス100)のレートを指定します。そのため、ポンド円相場は考慮不要です。
極端な話、ポンド円相場が1円になった場合でも、イギリス100のレートがロスカットレートに達しなければロスカットはされません。
但し、この場合は価格が大きく変わるので、追加証拠金のルール(後述)が適用されます。
GMOクリック証券の追加証拠金ルール
含み損が増して以下の状態となった場合、追加で入金する必要があります。これを「追加証拠金」といいます。
含み損益は、最初に説明したとおりポンド円相場の影響を受けます。
なので、私が作ったチャートの価格で損益が計算されます。
ポジションの評価額は「株価指数×ポンド円×0.1×保有数量」です。これが、注文時より低くなると含み損に、高くなると含み益になります。
追加証拠金が必要となった場合、翌3:00までに支払わなければ、全ポジションが強制決済されます。(FXのロスカットと同じですね)
入金までに猶予はありますが、もし発生したらヒヤヒヤしますよね。
安全に運用するには「暴落時でも追加証拠金が発生しない金額を入金すること」がポイントです。
まとめ:GMOクリック証券に引っ越し決定
いかがでしたか?
くりっく株365とルールや値動きが異なることに要注意ですが、GMOクリック証券でも長期積立投資が可能とわかりました。
値動きに踊らされず長く投資するのが、長期投資の基本です。
といってもFTSE100は長期的に上昇傾向なので、配当だけでなく値上がり益も期待できると考えています。
ロスカットレートの設定には十分注意して、安全に運用しましょう。
他にもリスクを抑えた投資として、以下も検討することをおすすめします。